第1章 シンデレラ
東京卍国という国で、マイキーは父と、イザナという継母と暮らしていました。
ある時父が事故で亡くなってしまうと、継母イザナのイビりが始まりました。
「マイキー、洗濯が終わってねえぞ?あとオレの部屋の掃除もなあ?」
マイキーはいつもイザナに冷たくあたられていました。家事の全てをマイキーにさせて、自分と連れ子のエマは優雅に過ごしたのです。
「…何だよその反抗的な目」
マイキーが歯向かえば、矛先はエマへ向かいました。そのためマイキーはイザナの言うことを聞き、毎日家事に明け暮れていたのです。
「早く空っぽになれよ…マイキー」
奴隷のように扱われる日々にいい加減嫌気が差してきます。しかしマイキーはエマを守るため、ぐっと我慢して過ごしていました。
「……寒いな…」
自分だけ狭い屋根裏で藁のベッド。寒さをしのぐため、マイキーはいつも灰をかぶって寝ました。
ある時城から舞踏会の招待状が届きました。継母のイザナはここでも非情な命令を下します。
「エマ、早く準備しろ。マイキー、てめえは留守番だ」
城での舞踏会、街の者が招待されるなんて滅多にありません。それなのにマイキーだけのけ者にして、イザナ達はパーティーへ行くようでした。
可愛らしく着飾ったエマが泣きべそをかいて寄ってきます。
「マイキー…ごめん…」
「いいよ、エマ。せっかくだから目一杯楽しんでおいで」
継母の目を盗んでは、いつもこっそり食べ物を分けてくれていたエマ。彼女の頭を優しく撫でると、マイキーは笑顔で送り出しました。
「…俺だけ留守番かよ…あーやってらんねえ!」
エマの前では強がったマイキーでしたが、一人残されて思わず本音が口をついて出てしまいます。
「パーティーか……楽しそうだな…」
奴隷のように働くだけで何のために生きているのか。虚しさでいっぱいになりました。
その時、マイキーの目の前に見知らぬ人物が現れました。
「…誰だ?」
「オレは魔法使いの三ツ谷だ。何やら悩みがあるようだな」