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【SB69】レディ・レディ[オムニバス]

第2章 愁パート 完


ヒロインがメジャーデビューをしないと聞いて、どうしてだかホッとした自分がいた。
ヒロインが抜け、ベーシストも居なくなり新メンバーが加入したあのバンドは華々しくデビューしたものの、その知名度は低迷した。
そこから少し遅れて、俺はAmatelastから脱退しシュウ⭐︎ゾーとしてジューダスからデビュー。
あんなにつるんでいたヒロインとも疎遠になっていた。
(こんな俺を見たら、ヒロインはなんて言うんだろうな)
V系の面影を無くし、キラキラの王子様としてデビューした俺を。
そう考えていたある時だった。社長であるユーダス仁刃笛……ジュダさんから紹介されたのはヒロインだった。
「女性だし線も細いけど、腕は確か。うちで定期メンテナンスの契約を結んだんだ」
「ヒロインです。これからよろしく」
ヒロインから俺に何か言うことはなかった。
冷たくされることもなければ、昔のように仲良くというわけでもない。
「シュウ⭐︎ゾーさん、カイくんのドラムのことですがシンバルの方にヒビが入ってまして……交換の方をしたいのですがご都合はいつ頃が……」
ただ、時折見せる懐かしそうな表情に彼女が俺をちゃんと覚えていることだけはわかった。
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