第1章 チタンパート 完
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ダークモンスターと化しても尚、ヒロインさんの美しいハイトーンが空に響く。
黒い翼を広げた禍々しくも神々しい彼女は楽しそうに目を細め声を響かせた。
「ーーーーきれい」
誰が言ったのかわからないが、その力強さに観客達が魅了される。
しかし次の瞬間、彼女はその腕を伸ばしあのボーカルの身体を浮き上がらせた。
「っーーーダメだっ!!」
何をしようとしているのかすぐに分かった。
それをしてしまえば、もう後に戻れないことも。
「ゔああああああああ嗚呼あああ!!!!」
絶叫が響き渡り、男の体から血が滴り落ちる。
「ヒロインさん!!」
「ーーーチタン!」
オリオンの声で我にかえる。
視線を向けると、冷静な様子でオリオンはヴァイオリンを構えた。
「……チタンが認めるわけだ。こんなにも美しく、そして力強い」
アルゴンとセレンも頷く。
「ダークモンスターは音楽の力で対抗しなければ意味がない。チタン、聞かせてやれよお前の曲をーーー!」