第1章 チタンパート 完
弟たちの側に寄る。
穏やかに眠る二人の額に手を当てると、少し熱い。
「お………にぃさま……ごめんなさい……」
バルトの寝言に、申し訳なくなる。
謝らなければならないのはこちらのほうなのに。
まだ起きる気配のない二人の元を離れようとすると、近くに置いてあった棚に気がついた。
決して安物ではなさそうな指輪が2つと、倒された写真立て。
腕を伸ばしてそれを直すと、ヒロインさんと、3人の男女が写っていた。
「それは伏せといて」
冷たい声がうしろから聞こえ、慌てて伏せると、今度は指輪を下に落とした。
「ごめんね、その写真好きじゃないんだ」
「勝手に触ってすみません」
指輪を拾い上げ、棚に戻す。
もともと冷たそうな人ではあったのだが、ここまで冷たい声を出されたのは初めてだった。
振り向くと、ヒロインさんが苦笑いしていた。