第38章 花①2人の時間
ジョ「うーむ…そうじゃな、確かにいい考えかもしれん。はどうじゃ?」
「そ、そんな…悪いです…」
ホ「ちゃん、私からのお願いよ。承太郎のためにもここにいてくれないかしら?承太郎、ちゃんには素直になるし、ちゃんが1人で離れて暮らすなんて心配で気が気じゃないと思うの。それに、ちゃんはもう私たちの家族同然よ。自分の娘を高校生のうちから幼い弟を連れて1人で暮らすなんて、心配じゃない人なんていないわ」
「でも…」
は花京院の方を見た。
花「僕は構わないよ」
花(承太郎だってを好きだったんだ。が承太郎と一つ屋根の下で暮らすことに不安がないわけではない。しかし、にとってアパートで2人暮らしをするよりも、ここで承太郎たちと一緒に住んだ方が、経済的にも肉体的にも精神的にも負担が少ないことは分かりきっている。につらい思いをさせるくらいなら僕が我慢をすればいい。それに承太郎に限って変な気は起こしたりしないだろう。大丈夫だ)
花京院はこう自分に言い聞かせるように、不安な気持ちを隠すようにに微笑んで言った。
ホ「だからここで一緒に暮らしてくれないかしら?」
承「だめだ。」
なんとここで返事をしたのはではなく承太郎だった。
ホ「承太郎?」
花、ジョ、「「「???」」」
承「おふくろ、俺だって思春期の男なんだ。同じ年頃の女と、増してや好いていた女と同じ家で暮らすって意味わかって言ってんのか?」
ホ「承太郎に限ってそんな…」
(待って、今承太郎サラッと恥ずかしいこと言ったよね??)
承「どこにもそんな保証はねぇ。それにそんなのは花京院が気が気じゃあねぇだろうよ」
花「え?」
ホ「そうなの?花京院くん」
花「い、いや、僕はがそっちの方が良いと言うならそれで…」
承「てめぇはその言葉、覚悟して言ってるんだな?」
花「承太郎、君はの気持ちを無視して自分の気持ちを押し付けるような奴じゃあないだろう?」
承「あぁ、だが、一緒にいる時間が増えるということはの気持ちがこちらに傾く可能性も増えるということだぜ?」