第29章 花①メサイア
夜中の3時頃、花京院は何か違和感を感じ、目を覚ました。
花「ん…。!?」
花京院の隣にいたはずのがいなくなっていた。
花京院は寝袋の中の温度を確認した。
花「まだ温かい…どこへ行ったんだ?」
花京院は周りを見渡した。
花「…なんだ、あそこか…」
花京院が目を凝らして見ると、視線の先には彗の遺体の横で並んで座っているアインガードとの姿があった。
はアインガードの肩に頭をもたれかけている。
花京院も起き上がり、の方へと向かった。
花「どうしたんだい?」
「んー?あぁ花京院…」
は涙を急いで拭い、アインガードは花京院が来ると消えた。
「特に何もしてないよ、ただちょっとやっぱ…寝れなくて」
は、へへと笑いながら言った。
花「そうだよな…」
花京院もの隣に腰掛けた。
「…ねぇ、花京院…」
花「なんだい?」
「これで最後にするからさ…今日で最後にするからさ…少しだけ、肩貸して…?」
花「もちろん」
花京院は手での頭をゆっくりと自分の肩に落とした。
「グスッ…グスッ…」
花「…。…別に無理に涙を止めなくていい」
「グスッ…」
花「今日で最後なんて思わなくていいんだ。辛くなったら、泣きたくなったらいつだって泣いていいんだ。になら僕はいつでも肩を貸すよ」
「グスッ…本当…?」
花「本当さ、僕だけじゃあない。が泣いているからと、弱音を吐いたからと僕らの誰かが責めた事あったか?」
「…ない…グスッ…」
花「むしろもう少し、弱いところを見せてくれてもいいんじゃあないのか?」
「…グスッ…花京院がそんな優しいこと言うから…グスッ…余計に…グスッ…涙止まらなくなっちゃったよ…グスッ…」
花「…おいで」
花京院は体の向きを変え、を自分の胸に抱きしめた。
「あっ…」