第13章 承①メサイア
承「おい!!何してる!!…はぁ…はぁ…」
現実世界で息を切らした承太郎がの手を強く引き、と共に倒れ込んだ。
「ん……。承太郎…?……!?な、なに!?」
承「こっちのセリフだ。何をしている」
「分からない…私…一体何を?」
承「夜中に目が覚めて、何か嫌な予感がするから、の部屋を訪ねてみようとしたらエレベーターで上へ向かっていくのが見えた。だから追いかけたんだ。エレベーターがガラス張りだったんで気づけたが、もし違ったら確実に死んでいたぞ」
「ごめん…ごめん…」
はポロポロと泣き出した。
承「自分で外に向かってる意識はなかったのか」
「ないよ…でも…夢で家族に呼ばれたの…」
承「なに?」
「夢だって途中で気づけたんだけど、お父さんたちの存在も夢だっては気づけなくって…夢の中ですごく楽しくて,幸せで、みんなが私を呼ぶから行かなきゃって思って、でも何かすごく大事なことを忘れている気がして…それで…」
承「わかった。もういい…もう思い出さなくていい…」
承太郎はの頭を胸に抱え込んだ。
「ごめん…ごめんなさい…承太郎…」
承「は悪くねぇ、スタンドだ。おそらくスタンド使いが近くにいるんだ」
承太郎は思った。が弱っているところを利用し、アインガードも手出しできない夢の中を操ってくるなど許せない、と、承太郎はそう思った。
そしてこの光景を見ている者がいた。
花(僕は…僕は気づけなかった。と同じ部屋にいたにも関わらず、が出ていったことに気づかなかった…。がいないことに気づき、追いかけた時には一歩遅かった。もし承太郎が来ていなかったら、は確実に死んでいた。僕では…僕ではダメなんだ…)
花京院もが出て行ってからしばらくして気づいた。そして部屋に戻ったのかと思い、の部屋を訪ねた時、承太郎と同じようにエレベーターに気づき、追いかけたのだ。しかし承太郎より一歩遅かったのだ。