第1章 恋愛感情、
雅紀×智
___
高校最後の夏。
陸上部キャプテンの俺は、最後の大会で優勝する事だけを目指し、練習を重ねていた。
そんなある日
「相葉ちゃん、ごめん……」
人とぶつかるという不注意で階段から転げ落た俺は見事入院。
大会に出られなくなってしまった。
「……俺の分まで頑張ってよ、
――おーちゃん」
ぶつかってしまったのは、俺と一位二位を争うほど、足が早い大野智…おーちゃんだった。
幸い彼は腕の掠り傷程度で、走りに支障はきたさなかった。
俺が入院してからというもの、毎日病室に来て練習の様子を聞かせてくれたおーちゃん。
3年生は俺達2人しか居なくて、キャプテンはおーちゃんが務めていることとか、メンバーが決まったことなど沢山話してくれた。
大会が2日後に迫った今日。
「…………」
何時も通り、練習の様子を聞かせてくれた後、なぜか俯き、黙ってしまったおーちゃん。
「おーちゃん…… ?」
顔を覗いてみると
「おーちゃん……
どうして泣いてるの……」
窓から射す夕日がおーちゃんを照らし、涙が輝き、
不覚にも綺麗だと思ってしまった。
無意識に、涙を流し続けるおーちゃんの頭を優しく撫でる。
「相葉ちゃん……」
俯いていたおーちゃんが顔を上げ、目線が合う。
「おーちゃん、だいじょ……――――」
それは、一瞬の出来事だった。
おーちゃんが俺の腕を引っ張り抱き寄せ
「……相葉ちゃん――――」
影が……
……唇が、重なった。
「おーちゃんっ……」
心臓の音がやけにうるさい。
離れてもなお唇に残る感触が、熱が、おーちゃんの涙が……
『……相葉ちゃん、好き……』
……言葉が。
俺を夢から離さない。
『帰ります。智』
いつの間にか居なくなってたおーちゃんはベッド脇の棚にメモを残して帰っていった。
「……メール……」
携帯の着信音がなったから見てみる。
と
――――――――
From . おーちゃん
――――――――
Sub . 相葉ちゃん
――――――――
相葉ちゃん、付き合って下さい
―――――――――