第3章 二人の出会い
杏「俺と会ったのは四年前と言っていたな。」
「はい、そうで御座います。」
杏「隠として鬼殺隊に加わったのは俺の影響もあるのだろうか。」
「はい、そうで御座います。」
杏「…君の喉は鬼にやられたのだろうか。」
「……………………………………。」
固まってしまった菫を見て、杏寿郎は踏み込み過ぎたのだと察した。
杏「すまない。立ち入った話をしたな。」
菫はハッとすると急いで頭を下げた。
「いえ…!困らせてしまい申し訳ございません…!」
杏「いや、鬼に襲われた時の話を聞くなど浅はかだった。誰にとっても愉快な話では無いだろう。」
その言葉を聞いて菫はぐっと拳を握った。
菫にとって杏寿郎との出会いは決して暗いものではなかった。
一緒に居た妹も助かったし、杏寿郎が早く駆けつけてくれたお陰で傷一つ付けられなかった。
「……いえ、愉快ではないかもしれませんが、大事な思い出です。」
菫がはっきりと言うと、杏寿郎は笑みを取り戻した。
杏「そうか、それは良かった!大丈夫であるのならもう少し訊きたいのだが許してくれるだろうか!」
「はい…!」
菫はすぐに返事をした。
杏寿郎はそれに笑顔を返すと手に持っていた湯呑みに口を付けた。