第56章 最終決戦
「よく…ご無事で……。」
菫が泣きながらそう言うと、杏寿郎は菫の手に自身の手を重ねて薬指の指輪を撫でた。
杏「約束したろう。きちんと君の元に帰ってきたぞ。」
その言葉に菫は涙をぽろぽろと溢しながら微笑んだ。
そんな場に禰豆子が近付いてくる。
禰豆子の父親は炭治郎の危機を知らせた。
そして、それはこれから起こることについてだった。
隠「息してない…脈がない。炭治郎…。」
無惨の体から出て来た炭治郎は死んだように動かない。
駆け付けた義勇はそんな弟弟子の姿に目を見開き涙した。
義「……また、守れなかった。俺は人に守られてばかりだ…。許してくれ、すまない、禰豆子…。すまない…。」
そんな義勇のおかしな空気に気が付いた杏寿郎が駆け寄ってくる。
杏「竈門少ね、」
杏寿郎は生気の無い炭治郎を見ると自身を追って走って来た菫の視界を奪った。
その意味を悟った菫の息が震える。
「竈門様は…どうされたのですか…。だって先程まで…、本当につい先程までは…、」
そう言いかけた時、死んだ筈の炭治郎が目を覚した。
その瞳は人間のそれではなかった。
無惨は死ぬ直前に炭治郎を鬼にして全てを託したのだ。