第56章 最終決戦
童「…君、ほんとすごいね。鬼殺隊で一番の実力者なんじゃないの?」
その言葉に実弥はやっと表情を変えて口角を上げた。
実「あの人は俺なんかとは比べ物にならねェ。今の感想を聞いて安心したぜ、糞鬼。」
そう言い終わるのと同時に今が好機と皆が駆ける。
初めに速いしのぶが目にも止まらぬ突き技を入れ、次に義勇が安定した足運びで動きを乱し、その隙に炭治郎が力強い技で足を切断してその場に留めた。
炭「不死川さん!!!」
炭治郎がそう呼ぶより前に、実弥は刀を右肩へ大きく振りかぶって童磨の懐に入り込んでいた。
実(風の呼吸、弐ノ型―――、)
童(霧氷・睡蓮、)
実「遅ェ!!」
―――爪々・科戸風!!!
炭「…っ」
近くに居た炭治郎は実弥が巻き起こした風に目を細めた。
そして、ごとりと落ちた童磨の首を見て目を見開く。
カ(き、斬った…。カナエ姉さん…。)
伊「……母ちゃんの…仇…。」
炭(上弦の弐を…!皆無事のまま斬ることができた!!)
同期組がそう勝利を噛み締める中、義勇は静かに刀を収め、しのぶは床に膝をつき、実弥は無言で童磨が消えゆく様を見つめていた。