第55章 柱稽古
杏「そうか、記憶が!」
天「俺と歩いてた時、あんまり変わらなかったんだけど何で?」
杏「特に話したい事が無かったのだろう!」
実「………。」
行「………。」
実弥と行冥は黙って炭治郎達を振り返った。
炭治郎は陽溜まりのように温かい笑顔を浮かべている。
それでも実弥は禰豆子を認める理由にはなり得ないと結論付けたのだった。
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あ「本日の柱合会議、産屋敷耀哉の代わりを産屋敷あまねが務めさせていただきます。」
とある一室、集められた面々の前であまねは畳に両手をついた。
あ「そして、当主の耀哉が病状の悪化により、今後皆様の前へ出ることが不可能になった旨、心よりお詫び申し上げます。」
杏(お館様…。)
耀哉は青い彼岸花の薬を飲んでいない。
正確に言うと飲めていない。
『無惨を斃すまでは死ぬまい』と生命力を伸ばす目的で飲もうとしたのだが、何度飲んでも吐いてしまった。
無惨と同じ血筋であるが為に花が耀哉を拒んだのだ。
あ「早速ですが、本日お集まり頂きました理由について簡単に説明させて下さい。」
そう断わると、あまねは禰豆子にとある変化があった事、昨夜鬼が一体も目撃されなかった事を伝えた。