第53章 遊郭に巣食う鬼
妓(何なんだ…こいつら…。)
無惨が言った通り、雑魚に見える隊士達は冴えた動きを見せた。
柱に至っては若干とはいえ押される程だ。
妓夫太郎と堕姫は百幾年振りに冷や汗をかいた。
妓(それなのに…柱がもう一人来るのかよ!ふざけんじゃねええ…!)
天元に少しでも多く毒を食らわせようとした時、杏寿郎が駆け付けた。
杏「宇髄!早い再会だな!!」
天「おう!共闘し慣れてるお前が来てくれて助かったぜ!」
妓「ちィ…ッ」
妓夫太郎は場を仕切り直す為に、堕姫の帯を操って天元と杏寿郎の動きを乱そうとした。
しかし、継子三人に首を斬られた堕姫の体は上手く動かない。
目を見開く妓夫太郎に痣を発現したかのような力を持つ柱二人が迫った。
妓「…ッ」
若干押されている程度であれば勝てる可能性があった。
人間は傷が治らないし疲労が溜まる。
そして、何よりも妓夫太郎には強い毒があった。
しかし、そこに強く燃え上がる炎のような鬼狩りが合流してしまった。
妓夫太郎にはその炎が太陽のように見え、そして同時に地獄の炎のようにも見えた。