第12章 二度目の邂逅
「い、いえ、ありがとうございます。本当に…有り難いです…。」
後退りはされたものの、菫の心からの礼が届いたのか杏寿郎はにこっと微笑んだ。
杏「当然の事をしたまでだ!」
その後、杏寿郎は菫を藤井家まで送り届けると踵を返した。
杏「では俺はこれで失礼する!!」
「あ!!ま、待って下さいませ!何時頃お帰りになられますか!」
走り出そうとしていた杏寿郎は振り返ると微笑んだまま首を傾げる。
杏「以前も同じやり取りをしたな!今夜も変わらず一時間後だ!」
そう言うと杏寿郎は強い風を巻き起こして走り去って行った。
(……急いで食事の支度をしよう。)
菫は頬に触れると、パンクしそうな頭を夜風で冷やしながら屋敷へと急いだ。