第32章 五年前の真実
杏「…それから君のお父上に君を嫁に貰うと宣言してきた!!ちなみに蓮華さんとお母上からは既に協力して貰っている!!!」
唐突に出てきた杏寿郎節に菫は目を見開いた。
「…えっ!?…そんな、お父さ…父は何と…、」
杏「うむ!晴れの日までには覚悟を決めて下さるだろう!!」
それを聞けば『よし。』とは言わなかったのだろうと分かったが、それでも菫は衝撃を受けた。
「は、晴れの……え…、…晴れの日…とは……、その、」
杏「君と俺の晴れの日だ!俺は君の外堀を全力で埋めている!此処を出て行って欲しくはないので君に『妻になってくれ。』とは言わないが、諦めた方が良いだろうと客観的な意見を述べておく!!」
それはもう殆どアウトな台詞であった。
菫もそう思って呆然としている。
杏寿郎はその様子を見て爽やかに笑った。
杏「俺はまだ君には関係を迫っていないぞ!!」
「……………ですが…それは……、」
杏「君も約束を破るような女性ではない!何も問題は無いな!!」
「……………………………………。」
その声は裏表のない朗らかな炎柱の声だった。
(……勢いが凄くて反論出来なかった…。)
菫はそんな事を思いながら、杏寿郎が爽やかなだけでなく酷く厄介な面もある事を知ったのだった。