第32章 五年前の真実
―――
晴「櫛?遠回しすぎるわ!指輪を贈った方が良いと思います!」
蓮「ですから関係を迫ったらお姉様はお屋敷を出ていってしまうのですよ!指輪は危険だわ!でも煉獄様も煉獄様よ。やっぱりここは身に付ける物を贈るべきです!」
杏「よもや……。」
杏寿郎は女二人にプレゼントについてのダメ出しを受けていた。
最初は圧倒されてしまった杏寿郎であったが、すぐに頭を切り替えるときゅっと口角を上げる。
杏「だが彼女は贈った簪を身に着けてくれない!きっと必要としていないのだろう!!」
それを聞くと蓮華はパチパチと瞬きをした。
蓮「西田……、あの、お姉様が雇った情報屋さんから私もすこーしだけ情報を買えているんです。それって…カキツバタの簪ですよね?お姉様は付けていらっしゃいますよ。」
杏「本当か!!!!」
杏寿郎は輝く笑顔で今日一大きい声を出した。
杏「贈った物を身に付けてもらえるというのは何とも温かな気持ちになるのだな!それなら装飾品にしよう!!」
蓮華と晴美は鼓膜が破れそうになった耳を擦りながらなんとか微笑んだ。
晴「それでしたらネックレスなんて如何かしら。銀座に良いお店があるわ。」
杏寿郎はその案にパッと顔を輝かせる。
杏「それなら毎日隊服の下に付けられる!!」
蓮「あのお店の…?良いなあ…お姉様…。」
晴美は羨ましがる蓮華を撫でながら杏寿郎の懐事情を探るべきか迷った。
その店は真珠で有名な高級店だったからだ。