第24章 新たな協力者
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「蟲柱様。」
し「……清水さんですか。」
菫は普段と異なる暗いしのぶの声を聞き、眉尻を下げた。
「はい。清水です。私に出来る事はございませんか。」
し「……入って来てください。」
菫は『失礼致します。』と静かに言うと、そっと戸を開けて部屋へと入った。
しのぶがどうして具合いが悪いのかは分からなかった。
只々、本人に口止めだけされていた。
その日もしのぶは水だけを飲み、再び念入りに口止めをした。
「…畏まりました。」
柱の命令となればそう答えるしかない。
即答しない事が菫に出来る精一杯の抵抗であった。
そして、しのぶはそんな菫を見て困った様に笑ったのだった。
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利き腕を酷く傷付けてしまったにも関わらず、完治を待てなかった杏寿郎は約一週間、つまり不十分な休養だけで戦線復帰する事にした。
しのぶは静かに怒っていたが杏寿郎は明るく笑って誤魔化し、昼に起きると菫に先に帰るように言い渡してから霞ヶ関へ向かった。
霞ヶ関に着くと杏寿郎は暫く当てもなく歩き回った。
そうして歩いていた時、妙な男を見付けた。
その男は顔を少し伏せながらも、ある対象から目を離さずにこそこそと歩いている。