第21章 右腕の代わり
翌朝、いつもより更に早く起きた菫は雪かきをしようと庭へ向かった。
しかし、その時日輪刀を使って鍛錬していた杏寿郎の足は雪に捕われること無く、技を放つ度にしっかりと地を踏みしめていた。
「…お早うございます。」
いつもより早い菫の挨拶に杏寿郎はパッと振り返る。
そして明るい笑顔を浮かべた。
杏「おはよう!今日はまた随分と早いな!昨夜の様に雪かきでもしようと思ったのだろうか!!」
「はい。」
菫が頷くと杏寿郎は雪の上を歩いて縁側へ寄った。
杏「有り難いが今夜の任務は足元が悪いだろう!良い練習になるので庭はこのままで構わない!玄関を頼む!!」
「畏まりました。」
菫は頭を下げると雪掻を手に玄関へ回った。
無心で玄関の雪かきをしていると門前を歩く人が眉を寄せる。
「………。」
今日は頭巾を被って仕事を行う水曜日だった。
菫は人々が自身の服装を見ているのだと悟ると静かに頭巾を脱いだ。
その頃、鍛錬をしている杏寿郎の元に要が舞い降りた。
聞くと今夜の任務は隊士達にも被害が広がって収拾がつかなくなった現場だとの事だった。
つまり、合同任務だ。
杏(今晩は帰りを待たずに先に寝ていてもらおう。)
そう思うと玄関へ回った。