第10章 乙骨憂太くんに愛されたい③
side.乙骨憂太
名前ちゃんは時々、僕の地雷を踏む。
その度に僕の中のドス黒いものが育つんだ。
「ねえ。憂太」
「うん?」
「今日ね!棘くんの呪言聞いたけど、あれ凄いね!」
「へぇ」
「おかげで2級呪霊。一人で倒せちゃった」
楽しそうに。
他の男の子の話をする名前ちゃん。
ねぇ?
何で名前ちゃんは
僕を追い詰めるの?
僕を好きなんじゃないの?
ほら。
もう一人の自分が僕に囁きかける。
『名前ちゃんが好きなら、名前ちゃんを呪えばいい』
もう僕には止められない。
名前ちゃんが悪いんだ。
名前ちゃんの手首を掴み、ズカズカと廊下を歩く。
自室に辿り着くと、僕は棘くんの呪言を駆使した。
「名前ちゃん。全部脱いで」
「えっ?」
無防備だった名前ちゃんは、まんまと呪いにかかる。
もう僕しか見ないで。
もう僕の声しか聞かないで。
もう僕から離れないで。