第6章 三ツ谷隆くんに愛されたい②
「名前。動くなつってんだろ」
「そんなこと言われても、もう1時間も立ちっぱなしだよ?」
「仕方ねぇだろ。仮縫いまだ終わらねぇんだから」
「はぁ…」
私は今、ウエディングドレスを作ってもらっている。
アシスタントさんにも手伝ってもらえばいいのに。
何でも自分一人で作りたいらしい。
最近分かったことがある。
隆さんは以外にも独占欲が強いということだ。
「名前のドレスは俺が作る」と言って利かなかった。
溜息を零す。
「名前。お前今すげぇ失礼なこと考えなかった?」
「えっ?…そんなことないよ!」
「その顔は考えてたな」
何故か私の考えを尽く読み取ってしまう隆さん。
「ちょっと不思議に思ってただけ」
「何を?」
「何でこんなに愛されてるんだろう?って」
「さあな。それは俺も不思議だよ。何で俺こんなにお前のこと好きなんだろ?って」
隆さんの言葉を聞いて思わず噴き出した。
あの日、失恋して酔いつぶれていなくても。
私たちはどこかで出会い。
きっと恋に落ちてた。