万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第15章 7.運命の出会いの始まり…
絢蘭が張った結界は普段俺達が任務の時に、降ろしている”帳”とは大きく違った。
当たり一面が暗くなることもなく、一目では結界が張ってあるとは思えないほどの完成度だった。
凄いなこの子は。
ここまでしてもらって恐れていては男の恥。
俺は腹を括った。
棘「しゃ…じゃなくてわかった。絢蘭を信じるよ。」
『ありがとうとげ君。いつでもいいよ。』
棘「…じゃぁいくよ?ふぅー。”飛べ”。」
一歩近づいた絢蘭に向かって、呼吸を整えて真っ直ぐ目を見て呪言を放った。
この時の俺の心拍は異常なほど速かっただろう。
心音が俺の耳にも届いてたから。
結果は…。
棘「おか…マジか…。」
『ほらね。こんなに近くで聞いても効かなかったでしょ?せいかくにはのろいとして言われた言葉でも、わたしの耳に入ったしゅんかんにふつうの言葉になっちゃうみたい。多分わたしにはキレイにする力があるせいかもね。よくはわからないけどね』
念のために、もし呪いが聞いてもダメージが双方にないものをいくつか言ってみた。
”止まれ” "眠れ” "走れ”など。
すべて絢蘭の前では一切効果がなかった。
階級が上な相手程効きにくいが全く効かなかったのは彼女が初めてだ。
少なくなった一族でさえ呪言を言わないように生活しているぐらいだ。
だから正直嬉しかった。
もう10何年以上普通に会話何てしてなかったから。
皆のため、絢蘭のためといっときながらホントは俺自身のためだったんだ。
昔みたいに無意識に人を呪って傷つけて。
それで周りからこそこそ言われ、次第に避けられる。
それが嫌で自分から一人になることを選んだ。
だけどほんとは、寂しくて、悔しくて。
それでも最近はあまり考えなくなっていたけど。
やっぱり心の奥底には残っていた。
でも彼女は俺の悩みを軽くするかの様に俺の呪言を綺麗に聞き流した。
何度も何度も。
何度も何度も。
この日、久しぶりになんの縛りもなく話すことができた。
まだ信じられないが、確かに話せている。
棘「ま、まだ驚いてるけど、絢蘭は本当に不思議な子だね。でもありがとう。君のおかげで、久しぶりに普通に話しが出来て凄く嬉しいよ。ただこの事は2人の秘密にして欲しんだ。真紀やパンダのおかげで今の俺がいるから気を遣わせたくないんだ。」