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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第2章 桜の香


「ふふ、ありがと。
夕月も元気になったみたいでよかった」

倒れたことなどすっかり忘れていた。

「うん。
もう大丈夫みたい」

カカシが装備を外し、布団に寝転がるのを見守ってから電気を消す。

「今日は一緒に寝ないの?」

からかうみたいに言われて顔が熱くなる。

「こ、この前は酔っ払ってたから大胆になっちゃってたの!
今日はちゃんとあっちで寝ます!」

「なんだ、残念」

それ、ほんまか冗談かどっち?

「全然残念そうちゃうやん」

「そんなことないよ」

まだカカシはくっくと笑っている。
絶対本気ちゃうやん。

わたしは「おやすみ」とだけ言って隣の自分の布団がある部屋へと入る。

「夕月……」

カカシの少し掠れた声。

「なに?」

「また、ここに寝に来てもいい?」

「お金払ってんねんからいつでも来たらいいやん」

「うん……」

しばらく沈黙が続いて、カカシは寝たのかとわたしも布団に入り電気を消す。
しばらくすると、カカシがズルズルと布団を引っ張ってこっち側に来る。

「何で自分から拷問受けに来たん?」

内心ドキドキしながら、前にカカシが言っていた言葉を捩る。

「なんか、違うんだよね。
寝れない……」

もう一度布団に潜り込みわたしの方に少し顔を近づけると、カカシはクンクンと犬がするみたいに匂いを嗅いだ。

「あ、やっぱこれかも……」

「なにが?」

「夕月ってお香かなにかしてる?」

「うん、着物に焚きしめてる……」

わたしは元々きつい匂いが苦手だ。
でも遊女になったときお世話になった姐さんにもらった桜のお香だけは匂いが優しいから大丈夫で、それ以来ずっとそのお香を使っていた。

「オレ、人より鼻がきくからきつい匂い苦手で。
だから遊女も苦手なことが多いんだけど、夕月の匂いだけはなんか大丈夫」

鼻を首元に近づけてクンクン匂いを嗅がれて、なんだか恥ずかくなってしまう。

「明日、お香ちょっと分けたげる。
そしたら家でも寝れるかもしれへんやろ」

「うん、助かる。
ありがと……」

カカシはわたしに顔を近づけたまま、すべてを言い終わる前に眠ってしまった。


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