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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第7章 惑いの往く末 後編 *【🌹 、not 最終行為】


「っ………!」

夢幻から解放された私は飛び起きた。



「はぁ、はぁ………っ」

荒い呼吸を繰り返しながら、死人のように胸の前で組み合わせ、

シーツの上に置いていた指を解きあてどなく伸ばす。



「主様……!」

その指をつかんで絡め取ったのはアモンだった。

ずっと私の傍らに寄り添ってくれていたのだろう、

常の顔色より幾許か青白い顔で、心から安堵したように微笑んだ。



「良かったっす、本当に………。

あなたがあのまま目覚めなかったら、オレは………。」

泣きそうに声を震わせる彼に微笑いかける。

力の抜け落ちた指を叱咤して、その頭を撫でた。



「大袈裟だよ、………私はこうしてあなたの目の前にいるでしょう?」

さらさらとした手触りの髪からは、仄かに薔薇の香りがする。

少しでも安心して欲しくて、胸のなかの悪夢の余韻を押して微笑めど、その瞳はますます曇るだけ。



「アモン……?」

戸惑った瞳を向ければ、その手首をつかんで引き寄せられる。

首筋に熱い吐息を感じたと思えば、すん、と髪の匂いを吸い込まれた。



「あ、アモン……離しっ………ひぅっっ」

その直後、首筋を強く吸われる。



マリスに淫猥らなキスをされた時の微熱が灯るような感覚が甦るようで、ドンッとその胸を押した。

けれど彼のキスとは違い、仄かに温もりがしみ込むような感覚が広がって、そしてそんな自分に戸惑った。



自分の頬がみるみる真っ赤になっていくのが、鏡を見なくてもわかる。

瞠目する瞳の先で、アモンはぺろりと舌で自分の唇を舐めて見せた。



「っ………!」

そのさまにますます紅くなってしまう私にくすりと微笑んで、その微笑に悪戯な感情が滲んだ。
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