【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第16章 ようこそヒロイン【3月】
side.仁王雅治
悲しい事があったり、
嬉しい事があったり…
そんな何気ない事がある度に、
隣を振り返る。
それが当たり前になっていた。
もう名前はいないのに…
ランニングから戻った俺は、汗まみれのユニフォームを着替える為に部室へ行く。
服を脱ぎ捨てた時。
ふと鏡に映った身体を見て、目を見開く。
「…何じゃ?これ…」
背中に大きく書かれた文字。
“テニス頑張って!”
名前がいたというメッセージ。
それを見つけた。
名前だ…。
涙が頬を伝う。
名前が恋しい。
今すぐ会いたい。
会って、あの優しい温もりに包まれたい。
もう会えないのは分かってる。
頭では、そう理解していても、
俺は奇跡を願ってしまうんだ。