【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第23章 人間の咄嗟の行動【3月】
side.名前
事件発生直前___。
「これっくらいの、お弁当箱に
おにぎりを握り、ちょいとつめて
きざーみしょうがにゴマふりかけて
にんじんさん♪
さくらんぼさん♪
しいたけさん♪
ごぼうさん♪」
今、私は買い出しの帰り道だ。
ルンルンでお弁当箱の歌を歌っているのには理由がある。
それは今日のタイムセールだ。
雅治くんは肉、肉、肉、ちょっと野菜…という偏食の嫌いがある。
私としては、野菜を多く摂取してほしい。
しかし、ここは神奈川。
野菜の物価が、私の住んでいた田舎とは桁違いに高いのだ。
エンゲル係数を考えた上で、タイムセールに通い詰めるが、毎回見事におばちゃんたちに惨敗している。
今日は運よく野菜を安く買えたのだった。
「貴様がスットカーだな!?」
「、!!ちがっ!!」
「誘拐を企てるとは不届き者め!!」
「違う!!違うの!!」
呑気に歌いながら歩いていると、突然男女の言い争う声が聞こえてきた。
只事ではない様子に急いでそちらの方へ走る。
「問答無用!!成敗してくれるわ!!」
「、!!え、ちょっ!!」
「キェエエエー!!」
「キャアーーー!!」
“バッチーーン”
それは一瞬の出来事だった…