第5章 桜 色 の 泪[煉獄杏寿郎]
触れるだけの口づけをし、体を繋げたままはなをうつぶせに布団に縫い付けた。
なまめかしく横たわるはなの背中を指でなぞると、背中の筋を浮き立たせてよがった。
艶のある髪から、細く白い項が覗く。無防備に晒された項に無性にそそられた。
背中に覆い被さり、項に唇を寄せて強めに吸うと白い肌に桜の花弁のような証がついた。
俺はこんなにも独占欲が強いのかと、抱くたび思い知らさせる。
この体に俺のものだという証を刻み込みたくなる。俺以外の男など見えなくなれば良いと思うほどだ。
敷布を握りしめるはなの手の下に己の手を滑りこませれば、指を絡ませて強く握った。
はなが耐えている快感の強さに比例するように、握り込む指が俺の手のひらに食い込んでいく。
恐らく血が滲んでいる。それでも良い。君がくれるものなら
ば、傷さえも愛おしくなる。
そんな俺は、君に狂っているのだろうな。
何度も何度も滾る熱を打ち付けた。項につけた証だけでなく、体の中にも俺のものである証を残したい。
髪を振り乱して啼く声を受け止めるように口付け、舌を絡めると、はなの口の端から唾液が漏れる。
「んぅ…っあぁ…はぁっ…」
細い腰が折れてしまいそうなほど無我夢中で腰を振った。
こめかみから流れる汗がはなの背中に落ちる。
体のどこもかしこも敏感になっているはなは、落ちた汗にさえ体を震わせた。
「あっ…やっ、そこ…は…んっ」
「くっ…はぁ…はな…」
きゅうきゅうと切なげに締め付ける中は、背後から攻めるとまた違った纏わりつき方になる。
はなも当たるところが変わるせいか、啼き方まで変わる。
「んぁっ…やぁ…また…あぁぁ…イっちゃ…う」
「果てそうか? 今日の君は感じやすいな…」
「あぁぁっ…ん…奥が…」
「奥がいいな」
「奥…当たっ…あぁ…」