第1章 誘 惑 の 媚 香 [煉獄杏寿郎]
「でも…私ができるのはここまでです。あとお香の力を借りたいです…お願いします…」
杏寿郎は迷った。確かにあの時のはなは一段と色っぽく、艶やかだった。
しかし、お香の力でソノ気にさせるのも気が引ける。
『いや…しかし、あれは…その、催淫させると言うことだぞ?』
「杏寿郎様……私はもう…とっくにその様になっています。あとは少しばかりの後押しが欲しいのです……。たまにはいつもと違うのも…悪くはないと思います。だめ…ですか?」
お香など要らないほどに色香を放つはなにぞくりとする。
『良いのか…本当に。』
「はい。それに…今日しか、使えないのではないですか?」
今日は槇寿郎も千寿郎も出掛けている。
使うならば今日しかない。
『承知した。しかし、おかしいと思ったらすぐに辞めよう。良いな?』
「はい。」
杏寿郎は文机の引き出しからお香を出すと、香炉に立てた。
そして火をつけると、ふわっとあの不思議な香りが辺りを包む。
杏寿郎は再びはなを寝かせると、口づける
お香など要らないほどにはなの欲が昂っていることが口づけの返し方でわかる。
何度も重ねるだけの口づけをし、次第に食むように…
そして舌を絡ませ水音を響かせる。
「はぁっ…んんっ、あぁ…んっ…っ…んっ」
いくら口づけても飽きることなどなく、離れることができない。
『はな…気分は悪くないか…?』
「杏寿郎さまぁ…だめ……離れちゃ…もっと…」
杏寿郎の首に腕を絡ませ、自分から舌を絡ませてくる。
「んっ…んんっ…気持ちいい……杏寿郎様の口の中…」
『気持ち良いか。俺もだ。』
クチュクチュ音がする度にはなの腰が浮き上がり杏寿郎のソレと腹が当たってしまう。
「杏寿郎様、ここ触りたいです……」
頬を上気させ、瞳は涙が溢れそうなほどに潤んでいる。
そして厭らしい手つきで、杏寿郎の熱を触る。
『んっ……はな、そこは良い。俺は…はなを良くしたい…』
杏寿郎が隊服の上着を脱いだ。
「杏寿郎様と肌を合わせたいです。」
そう言って細い腕を伸ばし、杏寿郎のシャツのボタンを外していく。
杏寿郎もはなを起こすと、着物の帯を解いた。
ボタンが外される音と、帯が解かれる音がし段々と素肌へと近づく。