第2章 連れて行かれた先は
「こ…ここっ…て…?」
連れて行かれた先は、絢爛豪華なお城のような建物の前だった。
それがその世界で言う、いわゆるラブホテルであることをヒナは知っていた。
ギョッとし、慌ててルイの方を見る。
「ルイさんっ!もう!か、からかわないでくださいよ!」
「ん?何が?」
彼は整った美しい顔に微笑を浮かべる。
「わ、私っ…こういうとこは行きませんっ!」
「なんでさ?二人でお話しするにはちょうどいいだろ」
「で…でもっ!ここって……」
「もしかして…なんかやらしいことされると思った?
まさか…するわけないよ。期待しちゃった?」
「へっ…」
その言葉に、ヒナはハッとした。
向こうは貴族の生まれで顔も良く、とんでもなくモテる男。
それに比べて自分は平凡で貧しく、恋人なんて出来たこともないし作る余裕もない…しがない給仕だ。
彼が自分のような人間に、そんな想いを寄せるはずがない。
「そ、そう…ですよね……あ、あは…ごめんなさい!」
ヒナは悲しそうに、いつもの笑顔を作った。
「じゃあ…ね?」
ルイはするっと腰に手を回す。
その目はヒナの、少女と言うべき歳に不釣り合いな豊満な胸の膨らみを見ていた。
それに気づかず,中へと足を踏み入れた。