第5章 帰り道
すっかり日が暮れた街。
ヒナはよろけるように不安定に歩く。
「大丈夫?ごめん…ちょっと激しくしすぎたかな」
「い、いえ!だ…大丈夫です!」
ヒナは腹に残る異物感を堪えた。そして無理矢理笑顔を作る。
「あ…あの…ルイさん…今日はありがとうございました!おかげで…ちょっと自分に自信が持てるかもしれないです…」
「…はは…君変わってるね…まぁいいけどさ」
「…それで、えっと……今度っ……」
ヒナは言葉を詰まらせる。
普通に、お話ししたい。
もっと仲良くなりたい。気づいたら初めてを捧げてしまっていた相手。
できることなら恋人になりたい、なんて…。
しかし、心のどこかでわかっていた。
「……」
言葉を詰まらせるヒナを見て、ルイは何も言わず、微笑んだ。
「次お休みの日、教えてよ。また、一緒に過ごそう」
「………あ…は…はい!」
ヒナは明るく、しかしどこか寂しげに微笑んだ。