第9章 過去
「硝子さん。今日は本当にお世話になりました」
「いいよ。今度酒でも奢ってよ」
「えっ?そんなんでいいんですか?」
「えー。何それ?僕、下戸なのにー」
「じゃあ、またね」
渋谷駅で硝子さんさんとも別れる。
「僕たちも帰ろっか?」
「うん」
手を繋いで歩きだす。
「悟さん」
「うん?」
「私、たくさん身体切られてた」
「…うん…」
「だから、あんなに包丁に怒ったんだね」
「ははっ!バレたかー」
いつも嫌な記憶から守ってくれてたんだね。
「吸血鬼事件は?」
「あれは名前の血のせいだと思うよ。その血に精力強化が混じってるんじゃない?」
「ふーん」
「じゃあ、エッチすると私の傷が治るのは?」
「それはねー…って、危なっ!秘密!秘密だよ!」
絶対、何か隠してる。
「言わないと、また記憶探るよ?」
「だめっ!」
頑として言わない悟さん。
よっぽど隠したいんだろうな。
まあ、いいや。
今度、硝子さんと飲みに行った時に聞いてみよう。