第9章 過去
例の一件が合ってから、定期的に硝子さんと連絡をとるようになった。
月経などの体調管理だったり、些細な怪我をした時に写真を送ったり。
時折、悟さんの悪口を言ったり。
そんなある日、硝子さんから電話がかかってきた。
『今日の午後予定あるか?』
「今日は予定ありませんよ?」
『じゃあ、私の知り合いのセラピストに会いにいくぞ』
「えっ?セラピスト?」
『詳しい話は会った時にする』
「わかりました」
『じゃあ15時に渋谷で待ち合わせな』
それだけ言うと硝子さんは電話を切ってしまった。
セラピストに何を話すんだろう?
悟さんの悪口とか?
まあ、いいか。
あまり深く考えず、悟さんにLINEを送る。
『今日15時から硝子さんと出かけます』
すると直ぐに返事が返ってくる。
こういうとこが面倒なんだよね。
『何で?どこに行くの?他に一緒の人は?』
ほら、来たよ。
でも既読スルーするともっと厄介なのは知ってる。