第8章 疑問*
「えーと、家入さん?って方を訪ねるように言われてるんだけど、教えてくれる?」
「ふーん。分かった。着いてきな」
随分とさばさばした女の子だな。
それよりパンダさんが気になって仕方がない。
「あの…」
「何だ?」
「君はパンダの精霊とかなの?」
私の質問に一拍置いて、2人は笑い出した。
「パンダが精霊だってさ!」
「俺はただのパンダだよ。宜しくな!」
「ええーっ…」
答えになってないんだけど。
さすが悟さんの生徒。
「あんたは何?呪術師?」
「ううん。ただの医療従事者」
「ふーん。呪いとか視えんの?」
「ううん」
「じゃあ何にも知らないのか?」
「うん」
「なのバカに何言われて、ここに来たわけ?」
「私もよく分かんないんだけど___」
事のあらましを話すと、今度は若干引かれる。
「あのバカの婚約者とか、ありねえだろ…」
「悟だけはやめておいた方が良いと思うぞ」
「あー。それね。もう無理なんだろうね」
逃げ道なんてとっくに塞がれてます。