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【呪術廻戦】 輪廻転生【五条悟】

第38章 追憶*


side.五条悟





もっと君の血で、思い出せるかな?





「じゃあっ…試しても…いい?」

「いいよ」





押し倒していた彼女の身体を起こして、上に乗せる形にした。


彼女は剃刀で指の先を切ると。

僕の見えなくなった左目に、血液をポタッと垂らす。




すると機能していなかった脳が働き出すように。

忘れていた光景が、影灯籠のように思い浮かぶ。






『君。名前は?』

『…名前…』

『名前。君を愛してるよ』





君と初めて会った時のこと。





『ねえ?また私を見つけてくれる?』

『僕は何度でも君を見つけるよ』

『うん』

『だから名前も誓って?』

『うん?』

『この瞳をずっと覚えていて』

『うん』





君ともう一度誓い合った結婚式。





『名前っ!』

『…泣いて…るの?…』

『君が…泣かせたんだよ』

『死なないって…言ったのに…』





蓮を授かって君が死にそうになった日のこと。





『ねえ?私が海に帰りたいって、言ったらどうする?』

『うーん。そうさせないように呪うかな?』

『私を呪うの?』

『うん。愛ほど強い呪いなんてないんだよ』





真鶴岬で海を見ていた日のこと。



君と過ごした日々は僕の宝だった。





「…名前…」





愛しい君の名を呼ぶ。


僕は何よりも大切な君を失いかけたんだ。


 
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