第35章 休暇⑧
side.五条悟
「名前が見た四角い獄門疆は、あらゆる物や人を封印する特級呪物なんだ」
「うん」
「獄門疆の所有者が“開門”と言えば封印は解ける。封印されたものは何年でもずっと封印され続ける」
「…そう…」
「うん。でも安心して。いざとなれば内側からこじ開けるから」
まあ、正直それは難しいかもしれないけどね。
獄門疆が呪霊側の手にあるなら。
開門なんてしないだろうし。
厳しいだろうなぁ。
今はここまでしか話さない。
これ以上、君を不安にさせたくないから。
僕の封印が現実になるなら。
名前の予知夢が頻繁になってくるはず。
「名前。お土産はどうする?」
「えっ?」
「いつ起こるか分からないことを懸念するより、楽しい事を考えようよ。大丈夫。僕は最強だから」
「…でも…」
「お土産選べば、少しは不安が紛れるかもよ?」
「うん。そうだね」
漸く少し笑顔になる名前。
「じゃあ、母さんには悪いけど予定通り。お土産屋さんに行こうか」
「うん」
僕らは箱根湯本駅に向かって、車を止めた。