第35章 休暇⑧
目が覚めて、むくりと起きる。
時刻は8時で、チェックアウトにはまだ時間があった。
身体の異変は消えている。
もう疼かない。
昨日の呪いは、どうやら解けたみたいだ。
今日で7泊8日の旅も終わりか…
隣にいる悟さんを見ると、天使のような寝顔をしていた。
今日は蓮と心を迎えに行くから、カフェイン控えなきゃ。
コップにお水を少しついで、それを一気に飲む。
今度はオレンジジュースをコップについだ。
ボーッとする頭で、ジュースを飲もうとすると。
突然、頭の中に映像が流れ込んでくる。
悟さんが四角い箱から伸びてきたものに。
手足を拘束されて、閉じ込められた。
動揺して、コップがツルッと手から離れる。
カップが床に落ちて、溢れたジュースがカーペットに広がった。
何これ…
白昼夢?
身体にゾワゾワと鳥肌が立つ。
「…名前?どうかした?」
物音で起こしてしまったかもしれない。
悟さんは私震える私を、宥めるように抱きしめた。
「何か視たの?」
私は怖くて首を振ることしか出来ない。
悟さんの身に何か起こるってことなの?
幸せが壊れそうな予感がする。
私は悟さんにしがみついた。