第32章 休暇7日目①*
昨夜、抱き潰されて寝てしまい。
目が覚めたのは、真夜中の0時間だった。
もう、こんな時間。
お料理もリンゴパイも冷めちゃったよね?
私は悟さんの腕から抜け出して、客室露天風呂に浸かる。
明日には帰るんだよね。
早く蓮や心に会いたいな。
夢みたいな1週間だったけど。
最後の最後で悟さんを怒らせちゃった。
後味が悪い。
「はぁっ…」
溜息を吐いていると、チャポッと人の気配がした。
驚いて振り向くと、いつの間にか悟さんがいて。
私をギュッと抱きしめる。
「僕を一人にして。何、溜息吐いてるの?悩み事?」
そうだよ。
帰りたい気持ちと、帰りたくない気持ちが混ざって。
なんか寂しいんだよ。
私は悟さんの首に擦り寄った。
「どうしたの?甘えたくなっちゃった?」
「うん。昼間のこと、ごめんなさい」
だから冷たくしないで。
「もういいよ。但し、次にまた同じことしたら、もっと酷いことするからね」
「うん。分かった」
悟さんは私の頭を優しく撫でてくれる。
この優しさが必要なの。