第30章 休暇6日目①
昨日は一日中ゆっくりして。
今日、念願の彫刻の森美術館に来れた。
明後日には帰るんだから、箱根もしっかり満喫したい。
美術館は思いのほか楽しくて、大きい目玉焼きがあったり。
ステンドグラスの螺旋階段がある。
「悟さん!迷路!迷路あるよ!」
「入りたいの?」
「うん!」
私は悟さんの手をぐいぐい引っ張って歩く。
「いいよ。もちろん勝負するでしょ?」
「うん!どうするタイム測る?」
「いや。ハンデ付けて僕が5分後に入るよ」
「いいの?」
「うん」
何やら自信あり気な悟さん。
「分かった。何か賭けるの?」
「うーん。そうだな…今日の主導権なんてどう?」
「ん?何の主導権?」
「もちろん夜の営みだよ♡」
その言葉に、ボンッと顔に熱が集中した。
絶対に負けられない戦いがここにある。
悟さんに主導権を渡してはならない。
「絶対に5分後!5分後だからね!」
「分かってるから、早く入ってよー」
「じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい♡」
悟さんより先にゴールに辿り着かなければ。