第19章 幸福
明日はいよいよ蓮の公園デビューの日だ。
私たちは以前住んでいたマンションに戻ってきた。
「名前、ご飯何食べる?」
「うーん。何にしようか?」
今はスーパーでお買い物中。
明日のお弁当の材料も含めて。
「僕が作るから、名前の好物でいいよ?」
「うーん。今日はご飯か麺の気分かな?」
「パスタ好きだよね?カルボナーラとか?」
「マッシュルームたっぷりのミートソースがいい」
「いいよ」
「わーい」
私は、今ものすごく幸せオーラが出ているに違いない。
家庭的な旦那さんと可愛い子供とお買い物。
こういう普通の生活、憧れだったんだよね。
「名前?」
「………」
「名前ちゃーん?」
「うん?何?」
「大丈夫?何か、さっきから心ここにあらずだけど?」
「ごめん。なんか幸せすぎて。気が緩んでる」
「ははっ。安い幸せだねー。このトマトみたい」
「酷いっ!」
そりゃ、悟さんには分からないかもしれないけどさ。
私にとっては幸福に満ちた一時なの。