第14章 出産
妊娠中期に入り、益々体調は酷くなった。
悟さんの過保護っぷりも。
「じゃあ名前。僕は仕事に行ってくるけど、くれぐれも無理しないでね」
「うん」
今日も医務室まで運ばれて、額にキスをされる。
悟さんを見送って、帰りを待つのが日常。
今は一日の殆どを医務室で過ごしている。
まあ、その反面で一部の生徒や呪術師の方との顔見知りになれた。
今日もいつも通り赤ちゃんの状態を診てもらう。
「妊娠中期の割には胎児が大きいな」
「えっ?」
エコーを見て硝子さんが首を傾げた。
「これだと妊娠後期の大きさだよ」
確かに中期にしてはお腹がすごく出ている気がする。
お腹の出っ張りで足元が見えない程だ。
「それって、いつ予定日か分かります?」
「さあ。正直なんとも言えないな」
こんな症例を診たことがないという硝子さん。
「うっ…うわっ!」
「どうした!?」
「…今…お腹…蹴られました…」
驚いてお腹を抑える。
硝子さんは笑うけれど、私は不安で堪らない。