第3章 狂愛*
「じゃあ、そろそろ行こうか?」
「えっ?どこに?」
「名前の部屋。何号室?」
「127号室だけど…って、えっ?」
つかつかと歩き出してしまう悟さんに続いて。
私も足早に駆け寄る。
ラウンジのお茶代を支払う悟さん。
「言っておくけど、君からのお代は頂かないよ」
お財布を出しかけた手が止まる。
パチンとウインクまでされてしまった。
「ちょっと待っててね」
「えっ?あっ、はい」
呆気に取られていると、今度はロビーの方へ歩いて行ってしまった。
凄くスマートだ。
「名前。行くよ」
「あ、はい」
手を引かれて歩き出す。
「悟さん、1つ聞いてもいい?」
「うん。何でも聞いて」
「何で私が悟さんを恨むの?」
疑問に思っていたことを聞くと、悟さんは困ったような顔をする。
「部屋に着いたら…ね?」
「…分かった…」
悟さんの悲しい顔を見て、それ以上の追求できなかった。
きっと何か気まずい事情があるんだろうけど。
そういうのは早く聞いておきたい。