第4章 揃わない歩幅/フロ監
「ねぇ小エビちゃん」
「なんですか?」
「オレより先に死なないで」
「人魚の寿命ってどのくらいでしたっけ?」
「長生きする奴で三百くらい」
「ふふ、三百年でも四百年でも。先輩を想い続けることは出来るんですけどね」
「でもそれ、小エビちゃんがオレの隣に居なきゃ意味ねーじゃんね」
「私もお願い、言っていいですか」
「ん、いいよぉ。なぁにー」
「私が死んでも追いかけて来ないでくださいね」
「……あはっ、ズリィよなぁホントこの小エビは」
「ふふ、今更ですか?」
「今更だよねー。……いいよぉ。そのお願いちゃぁんと聞いたげる。
だから……もう寝んねしなユウ」
シワが増えた番《ツガイ》の瞼に、そっと唇を落とした。
- fin -