第5章 ending ー風に成るー
『おはよう。
最悪の朝かい?
突然だけれど、
私は末期の病に侵されていました。
きっと、君がこれを読んでいる時は、
私はもう居ないだろうね。』
そんな文章から始まった遺書は、
会社に連絡して欲しい、
できれば両親の墓の近くに葬って欲しいと云うこと、
そして俺への感謝の言葉がつづられていて。
『最後に、君をずっと愛していました。真琴。』
そう締めくくった、
丸い独特の文字を眺めた後、
俺はそっとその手紙を懐に入れた。
もう、誰も居なくなった夕暮れの墓地。
真新しい墓石と、
そこに掘られた元妻の名前。