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人生を愛し、自分を愛し、花を愛する

第4章 幸福な最終日








そして迎えた最終日も、


極々平凡で、


平和な一日だった。









その日俺は非番で、


真琴が見たがった映画を


何本か身を寄せ合って鑑賞して。








口にした物も、


俺の下手くそなオムライスだったし。






風呂もいつも通りで、


寝る時間もいつも通り。











本当に、ただの休日。


そんな日だったのだ。











今日で、最後だな。











一緒に横になったベッドの中。







そんな簡単な一言が出てこない事に、



俺は内心舌打ちをした。









一応、確認しておかなければいけない事なのに、



どうしても、言えなくて。












「おやすみ、真琴。」












結局、いつも通り挨拶をして目を閉じようとしたのに、


真琴からは返事がなかった。











少し待っても、やはり反応はない。











不思議に思って横を向いた時のあの衝撃は、


今でも言葉にできる気がしない。











真琴は、泣いていた。











あの、真琴が、


泣いていた。













俺をじっと見つめながら、


声を出さないように唇を噛んで。







ただ、


ただ、


はらはらと涙を流す様子に驚いて。










俺は慌てて飛び起きると、


真琴の肩を掴んで顔を覗きこんだ。





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