第16章 たったひとつの (五条悟)
side you
「もう無理眠い。ごめん、私先に自分の部屋戻るわね」
『うん分かったよ。また明日ね。』
任務に行ってしまった恵くん以外の3人で勉強会。悠二くんの部屋にお菓子を持ち寄って頑張っていたのだけれど眠気に勝てなくなった野薔薇が離脱。
『あっ、野薔薇待ってスマホ忘れてる!』
たった今部屋を出ていった野薔薇を追いかけて忘れ物を手渡す。
「あーごめんありがとうね。あんたたちも程々にしなさいよ?」
『うん、悠二くんが今解いてるページ終わったら私も戻ることにするよ。』
「それがいいわ、じゃあおやすみ」
『おやすみ!』
悠二くんの部屋に戻ると問題集と睨めっこをしていてペンを握る手は止まっている。
『悠二くんどう?解けそう?』
「い〜や分からん。てか釘崎に渡せたん?」
『うん渡せた!』
「んなら良かったわ。あ、足元にお菓子あるから気をつけてな」
『え?…っわあ!』
自分で置いたクッキーの箱の存在を忘れて踏みつけそうになったところを間一髪避けたけど無理!こける!
「…っぶな、セーフ」
『ふう…ごめんね悠二くん助かりました…』
後ろ向きに転んだ私を床に座っていた悠二くんが受け止めてくれた。彼の足の間にすっぽりとおさまるようにキャッチされていつもより近い距離になる。
「…あの…手を…手を退けていただけると…っ」
『え…あ、ごめん!!!!』
咄嗟に着いたと手は床ではなく彼のモノを思い切り下敷きにしていた。
『ごめん悠二くん!痛いよね…ごめんなさい…っ』
「いや、痛くはねんだけど…いや、まあ平気!気にせんで!」
『でも…っ』
「むしろラッキー…てきな?それに軽いから全然なんともない!」
気にしなくていいと笑ってくれた悠二くんに甘えて勉強を再開したのはいいけど、彼はどこかソワソワしているように見えて集中してない気がするのは私の気のせいかな。