第15章 青の日々 (及川徹)
この日、部活が終わって外に出るとちゃんが下駄箱で靴に履き替えてるのが見えた。
「ちゃん!」
『あれ、バレー部終わったの?もうそんな時間か。』
「こんな時間まで何してたのさ」
『昼に貰った手紙のお呼び出し。』
「え、こんな時間まで…?」
『まぁ、うん。』
「あー…もう暗いし送らせて」
何だかいつもと雰囲気が違うように見えた。髪って今日下ろしてたっけ…。ポニーテールだった気がしたけど。
いつも少しはある会話が今日はない。
やっぱりなんかあったんじゃないかって嫌な予感に胸がザワザワする。
「ちゃん。その…俺の勘違いだったら謝るね。」
『うん』
「なんかあった?…さっきと髪型も変わってるし。」
『別に何も無いよ』
「…じゃあ俺の目見て」
少し前を歩く彼女の手首を引いて振り返らせると、その瞳は潤んで見えた。
「ちゃん…?なんで泣いてるの!?」
『…っなんでもない』
「なんでもなくない!俺やだよちゃんが泣いてるの。ごめんだけど今日は真っ直ぐ帰してあげられないからね。」
捕まえたままの手を引いて辿り着いたのは俺の家。
『ねえちょっと家は…』
「親いるから安心して」
『……』
「お母さーん!ちゃん来たよ!」
玄関からリビングに叫ぶと母がバタバタと駆けてくる。
「あらやだー!また綺麗になった?」
『お久しぶりです!えと、お邪魔します…っ』
「どうぞどうぞ〜 帰りは車だすからゆっくりしていきなさい!」
『すみません…ありがとうございます』
「いいのよ〜もう!
ほら徹、飲み物とりいらっしゃい」
「うん、じゃあちゃん先に俺の部屋いってて」
『うん、分かった。』
中学の時からちゃんは俺の両親の推し。可愛い可愛いって行事のたびにツーショット撮られてた。まあ俺からすればありがたいんだけどね。