第15章 青の日々 (及川徹)

隣を歩く彼女の歩幅に合わせるといつもより少しゆっくりになる。こうやって見ると華奢で小さくて俺とは違う生き物にさえ見えてくる。

『なあに？』

「えっ？」

『さっきからずっと見てるから何かなあって』

「あ、や…っごめん！ほんと可愛いなぁって思ってました…。」

『及川それ1年の頃からずっと言ってる。よく飽きないよね。』

「飽きるわけなくない！？あなたのことめっちゃ好きなんですけど！」

『モテるくせに勿体ないねぇ』

「好きな子からの好きに勝てるものなんてないんで勿体なくないでぇす！俺はちゃんが振り向いてくれたらそれが一番幸せな事なのでー！」

『そっかぁ』

「そうです！ああもう好き！なんで振り向いてくれないのー！！」

『だって、なんで私なの？』

なんでですって！？こんなにずっと好きって伝えてるのに今更なんでですって！？

「理由とか聞かれても上手く答えられないけどさ、ほんとに好き。本当に。」

2人だけの帰り道に俺の声だけが響く。なんか…真剣に答えすぎた？ピタリと足を止めた彼女が俺から視線を逸らしてまた歩き出す。あれ？なに、今の？

「…っえ、」

『…なに』

「待って待って何その顔…聞いてないんだけど…？」

『…っなにが』

「だってちょっと紅くなってる…可愛すぎでしょ待ってよホントに…」

視線を逸らした彼女の頬はほんの少し紅く染まっていて。バカな俺は期待をしてしまう。もしかしたらって…少しは俺を意識してくれてるんじゃないかと期待をしてしまうんだ。

急ぎ足になった彼女の手首を捕まえて振り向かせるとやっぱり見間違えなんかじゃなかった。

「俺絶対諦めないよ…振り向かせるから！」

『…っ好きに、すれば』

「ぇ、あ…うんっ」

一瞬だけ振り返ったちゃんの表情は口調と裏腹に少しだけ笑っていた。呆れて笑っただけかもしれないけど…でもチャンスあった！諦めない！