第15章 青の日々 (及川徹)
「あの…その。私が高校生の時に及川くんに告白したの覚えてる?」
「あぁ、うん覚えてる」
「卒業して大人になってもやっぱり及川くんのこと忘れられなくて。今日来るって聞いたからもう一度伝えたかったの。」
「そうだったんだね」
「私やっぱり及川くんが好き。及川くんの彼女になりたい。」
やっぱりなぁ、なんて思う俺はひどいかな。
「…気持ちは凄く嬉しい。伝えてくれてありがとう。」
「じゃあ…っ」
「でもごめん。君の気持ちには応えてあげられないや。」
「ど…して?やっぱり私じゃダメ…かな?」
「どうして…かな。どうして君じゃダメなんだろう…。俺さ、どうしようもなく好きな子がいるんだ。」
「それって…」
「俺がお付き合いしてた子は1人しかいないから多分君が思ってるその子かな。」
「でもあの子とはもう別れたって…っ「…俺はあの子じゃなきゃダメなんだ。」
「別れてもまだ…好きなの?」
「うん…愛してる、かな。」
「そ…っか、」
目の前に立つ彼女の表情が泣き顔へと変わっていく。それでも俺が涙を拭いてあげたいと思う人はこの世でたった1人だけ。
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「あれ、及川おかえり」
「ただいまあ」
「大丈夫?」
「なになにマッキーまで。さっき岩ちゃんにも心配されたよ。」
「だって今の告白だったっしょ?あの子まだ及川のこと好きだったんだ。」
「そうみたい。」
「及川はもうふっきれた…わけねえよな」
「俺が好きなのは世界でたった1人だからねえ。及川さんは一途なんだよマッキー」
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あの日はよく晴れた日だった。
澄んだ空気が心地よくて。
俺はあの日を…あの瞬間を…生涯忘れない。