第15章 青の日々 (及川徹)
side及川徹
同窓会なんて来るつもりは無かったけど…会いたい人たちには会えてるし。でもなんか皆行くって言うから。ちょうど帰国期間と被ってたし顔を出すだけ。
「及川こっちこっち」
「マッキー!まっつん!」
「あれ、岩泉は?」
「もうすぐ来ると思うけど」
「来るのおっせえから皆できあがりはじめてるよ」
「てかなんか女子の気合いの入り方異常なんだけどお前なんかした?」
「顔出しに来ただけなんですけど〜」
「すぐ帰んの?」
「長居するつもりはないかな。」
「そう?んなら俺らも及川と一緒に抜けるかな」
「え?いいよ最後まで楽しみなって」
「俺明日も仕事だしいーわ。花巻も転職活動バタついてんだろ?」
「まあ、ぼちぼちね〜」
皆大人になった。こっちに置いてきた心が、思い出が、止まったままの時間が動いてくれないのはきっと俺だけ。
「及川くん、ちょっといい?」
「ぇあ、うん」
ほんのり頬を染めた元クラスメイトに呼ばれて2人で店を出たところで岩ちゃんとばったり。
「及川」
「岩ちゃん」
「どこいくんだ」
「ちょっとお呼び出し」
「ああ…大丈夫か?」
「うん。ありがとう。」
心配そうな岩ちゃんに大丈夫、と笑いかけてクラスメイトのあとをついていく。
「及川くん久しぶりだね。私の事覚えてる?」
「もちろん。会うのは卒業ぶり?」
元クラスメイトの顔と名前くらい当然覚えている。卒業してまだほんの数年だもの。
「やっぱり気づいてない、よね。」
「どこかで会ったっけ?」
「何回か試合見に行ってたんだけど…気づかれないのも無理ないかな。」
「そうだったの?わざわざありがとうね。」
「私が一方的に会いに行ってただけだから全然。」
「用件聞いてもいいかな?」
もしかしたら、とよぎる可能性。彼女の顔を見ればなんとなく予想がつく。