第13章 お気に入り(松野千冬)
倒れ込むようにさんを抱きしめて息を整える。それは彼女も同じようでまだ熱を持った吐息が耳をかすめる。
『…せっかくお風呂入ったのにね、ふふ』
「もっかい入ります?」
『んー、うんそうだね。シャワーだけ浴びたい。』
「そうしましょーか。」
細い指が額に張り付いた前髪をよけて触れるだけのキスをくれた。それだけで硬さを取り戻していくんだから自分で呆れそうになる。
『わたしサッと浴びてきちゃうから千冬くんそのあとね。』
「え、一緒で良くないすか?」
『だーめ』
「なんですか」
『ここ』
下から上に一瞬だけ彼女の手が敏感な竿に触れた。
「…っちょっと」
『一緒に入ったら千冬くんのが元気になっちゃうからだめ。今だって少し大きくなってきてるもん。』
「う…っ」
『すぐ帰ってくるから待ってて』
「はい…」
起き上がったさんは10分も経たずに部屋に戻ってきた。入れ替わりでシャワーを借りてすぐ戻ったけど彼女は夢の中だった。小さく聞こえる寝息が愛おしい。
無理をさせてしまっただろうか。ぐっすり眠るさんの隣に俺も横たわってしばらく寝顔を眺めていた。
「さん好きです…」
何度も伝えたのに伝え足りねえな。
寝ている彼女の唇にキスをしてから俺も眠りについた。