第3章 初恋 (佐野万次郎)
「うっす、お邪魔します」
『きゃー、隆くん!
久しぶりだね元気だった?』
「あっす、元気っす
さんは就活どーすか?」
デザイナーを目指す三ツ谷とスタイリストを目指すは何かと話が合うみたいで、会う度にファッションの話を永遠としてる。2人ともオシャレだからきっと夢叶えるんだろーな。
『んー、何とか決まりそう!
私の憧れのスタイリストさんがね、たまたま直属のアシスタントさがしてて、思い切って連絡してみたんだ!この前面接?っていうのかな、お会いしに行ったんだけどすごくいい人でさあ!』
「へー、良かったっすね!
俺もさんに負けねえようにデザインの勉強頑張るんでいつか一緒に仕事できたらいいっすね!」
『わー、いいねいいね!』
あーそういやこの前遅刻するだのなんだのってすげえ慌ててたな。絶対遅れらんねえから送ってくれって俺がバイク出した日…あの日か?
「なあ、それって俺がバイク出した日?」
『あ、そう!もーすっごい助かった!
内定とれたら万次郎くんのおかげだ!
そしたらなんでも好きなもの買ってあげる!
あ、あんま高いのはやめてね?へへ』
俺が欲しいもんなんて…だけだよ
っていったら俺のもんになんのかな…。
「ん、考えとくわ」
ピーンポーン
「三ツ谷いってきて」
「は?お前ん家だろ…ったく
おーおー勝手に入ってくるスタイルだ」
「マイキーきたぞー」
俺の家に勝手に上がってくるやつなんてお前らしかいないよ。
『賢くん!圭介くん!2人とも背高いね〜』
「は相変わらずちっせえな!」
『こら!圭介くんご飯なーし!』
「は!?腹減ってんだよ食わせろ!」
『あはは、うそうそ!』
「よーエマ、何作ってんの?」
「ドラケン!えっとね酢飯!
今日は手巻き寿司だよー!」
「へー!楽しそうだな!」
「がウチに住むようになってから毎日パーティーみたいでホント楽しいんだ!真にぃがあんなにデレデレなんて知らなかったけど!」
「…あーそうだな。」
「ドラケン?どうかした?」
「あーいや。俺これ運ぶな?」
ケンちんはきっと俺の気持ちに気づいてる
昔から何でもバレちゃうから。
ケンちん俺…苦しいよ。
兄貴の彼女って分かってんのに…すげえ好きなんだ。